Paradise Found

好きな音楽関連の英語和訳や諸々です。My Japanese translations (from English) and various things related to my favorite music.

Mike Mangini インタヴュー和訳 2013年12月 EntertainmentTell

初出:2013年12月 別ブログで投稿

 

【背景情報】

 

ドリームシアター Dream Theaterサイト)創立メンバーでありドラマーのマイク・ポートノイ Mike Portnoy が2010年9月8日、脱退を発表。

 

Dream Theaterはバンド再建のため、凄腕ドラマー7人を集め2010年10月に新ドラマーオーディションを実施。

その模様をドキュメンタリー映像に収録し2011年4月YouTubeで公開。

 

Episode 1 動画 :マイク・マンジーニ Mike Mangini

Episode 2 動画 :デレク・ロディ Derek Roddy、トーマス・ラング Thomas Lang、ヴァージル・ドナティ Virgil Donati、マルコ・ミネマン Marco Minnemann

Episode 3 動画 :アキレス・プリースター Aquiles Priester、ピーター・ウィルドアー Peter Wildoer、合格発表

 

日本語字幕付きの映像がアルバム "A Dramatic Turn Of Events" スペシャル・エディション日本盤(2011年9月発売)(amazon)付属DVDに収録されています。

 

上記YouTubeやDVDではカットされているマイク・マンジーニとのジャム演奏の映像を収録したUSBがアルバム "Dream Theater" ボックスセット(2013年9月発売)(amazon)に付属しています。

 

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My Japanese translation of the Mike Mangini (website) interview.

The original English interview: "EntertainmentTell" dept at TechnologyTell website, December 2013

The original page doesn't exist anymore but partly quoted at Prog Sphere.

Interviewer: Howard Whitman

 

マイク・マンジーニ Mike Mangini(サイト)インタヴューの和訳です。

原文:アメリカ(おそらく)のサイト TechnologyTell にあったコーナー EntertainmentTell で2013年12月公開

原文ページは現在なくなっていますが、Prog Sphere に一部引用が残っています。

インタヴュアー:Howard Whitman

 

Dream Theaterのドラマー マイク・マンジーニ、夢を実現する

 

ロックンロール界の宝くじに当たったと言える人物がいるなら、それはマイク・マンジーニだろう。この賞賛を博しているドラマーは、ExtremeやJourneyのスティーヴ・ペリー Steve Perry やスティーヴ・ヴァイ Steve Vaiといったアーティストたちと演奏してきた抜群の活動経歴を持っていたが、長年のスタジオやツアー生活のあと、名高いバークリー音楽院でのフルタイムの教授職に落ち着いた。

しかし、それはDream Theaterからお呼びが掛かるまでのことだ。

Dream Theater創立メンバーのマイク・ポートノイが2010年に脱退、空席となって残されたドラマーの座を獲得すべくオーディションに呼ばれた7人の世界級ドラマーの1人が、マンジーニであった。

ポートノイの脱退から約1ヶ月後、マンジーニはDream Theaterメンバーたちとスタジオで演奏、その模様はきっちりと撮影・発表され、YouTubeで広まり人気シリーズとなった。

最後にバンドから「家族に迎える」との電話を受けたのはマンジーニだった。彼の反応は非常に感情の迸り出た、率直なもので、Urban Dictionary(訳注:Urban「都会の、流行最先端の」Dictionary「辞書」。言葉の意味を勝手に投稿していくジョークサイト)に "Mangini" という項目ができ「良い知らせに対し、生き生きとした、ちゃんと物が言えないほどの、あふれるままの興奮を見せて反応すること」という意味に定義されているほどだ。

(訳注:新ドラマーオーディションのドキュメンタリー映像で合格を伝えられたときの様子より。動画

Urban Dictionaryの話題は "Live At Luna Park" 収録の映像より。

amazon  DVD  Blu-ray

 

2011年に発表され賞賛を博したアルバム "A Dramatic Turn Of Events" [Dream Theater初のグラミー賞ノミネートをもたらした] で、マンジーニはDream Theaterでのデビューを果たした。続いて、同アルバムのツアーを15ヶ月以上に渡りおこなった。2013年には、そのツアーからの映像と音源を収録した "Live At Luna Park"、そしてシンプルに "Dream Theater" と題された新アルバムも発表され、そのアルバムでマンジーニは初めて、バンドと共に作曲やアレンジに参加した。["A Dramatic Turn Of Events" では録音済みのトラックに対して演奏していた]

 

ポートノイほどの人気のあるメンバーが新顔と交替するというのは困難なことになり得るが、Dream Theaterのファンたちはマンジーニの信じがたいドラムの腕前 [彼は5回に渡り、5回、である、世界最速ドラマー記録を作った] と人を引きつける人柄に歓迎の態度を示した。

 

前回のツアーでコンサート開幕に使われていた、バンドメンバーたちを描いた映像で、彼はアニメのキャラクター、彼にぴったりなジーニー Genie にもなり、そのアニメーション映像は "Live At Luna Park" に収録された。(訳注:下記インタヴューで後述)

 

去る2013年11月、私とのインタヴューに応じてくれたとき、マンジーニは新アルバムをひっさげて、アメリカを回る前にヨーロッパで開幕するツアーの準備に入っていた。ご期待の通り、彼のDream Theaterへの熱意と献身ぶりは疑問の余地もないものだ。彼はインタヴュー中、終始 "Mangini" した。Dream Theaterの最新リリースについて、これからのツアー計画について、また、アニメのジーニーになった感想について話を聞いた。

Entertainment Tell のためだけにおこなわれた、Dream Theaterの巨匠ドラマー、マイク・マンジーニのインタヴューをここにお届けする。

 

ハワード・ホイットマン Howard Whitman:今までで最高の1年を過ごされているんじゃありませんか?

 

マイク・マンジーニ:うん、そうだね。だけどおかしなことに、自分に生活があって、スケジュールがあって、すごくたくさんのことが進行中なんだってことを自分で自分に思い出させなきゃいけないんだ。いろんなことがそのうち起こると思って期待する、という最大のミスを犯していたんだよ。たとえば飛行機にはちゃんと乗れるし、ちょうどいいときに何かをもらえるし、僕は誰かが何かしてくれるのを待っていれば良くて、その誰かも他の誰かを待っていて、その誰かも他の誰かを待っていて、それで何もかもそのうちうまく行くんだ、という具合にね。だけどそんなことは絶対ない。

 

ホイットマンDream Theaterのオーディションはオンラインで発表されて(Episode 1 Episode 2 Episode 3 )、アルバム "A Dramatic Trun Of Events" に付属のDVD( amazon )にも収録されましたが、あのとき、あなたはとても自信に満ちていらっしゃるように見えました。オーディションに際してうまく行くという感触がありましたか?

 

マンジーニ:この世であり得る限り最高の感触を持っていたよ。いろんな場面に対してリハーサル済みだったからね。と言うのは、オーディションでどんなことが起こり得るか、どんな可能性があるか、いいことも悪いことも考え出して、それぞれの対処法を紙に書き出して、文字通り想像力を駆使して、起こり得るどんな場面も切り抜けられるようにしたんだ。で、そのおかげで、何が起こってもどうにかできるという自信があったんだよ。

 

ホイットマンDream Theaterの曲を覚えるには、本当に真剣に取りかかって勉強しないといけませんでしたか?

 

マンジーニ:うん、そうしたよ。そう、朝5時半に起きてたね。フルタイムの仕事があったし(訳注:バークリー音楽大学の教授職)、オーディション準備をする代わりに9日間、南アメリカに行かなきゃいけなかったしね。(訳注:Dream Theaterオーディションの準備期間は3週間ほどだったが、その間にジルジャン Zildjian 主催のクリニックツアーでの南アメリカ行きが入っていた)だから、どうにかして、オーディション準備をちゃんとできるように、可能なことは何でも全部やらなきゃいけなかったよ。

 

ホイットマン:あのDVDについてですが、あなたが電話を受ける様子を撮影しにカメラを持ったスタッフが現れたとき、これは合格だぞと思いましたか?

 

マンジーニ:思ったよ!だけど、人間は誰でも人間で……たとえ、そうだなあ、「よし絶対に僕が合格なんだ」と最高に自信満々になったとしてもだよ、あの映像のためにも言っておくけど、舞台裏映像というのは何が起こるか本当にわからないし、多少、心配だったんだよ。通常の緊張感があったよ。

 

ホイットマン:それは確実にわかります!カメラがとらえたあなたの反応はとても純粋なものでしたから。まるで宝くじに当たったかのようで。そのことは私たち大勢が、見てわかったと思います。

 

マンジーニ:さっき言ったように、僕が何を思ったところで、感じたところで、察知したところで、状況を要約したところで……僕の頭の中にどんな考えがあったとしても、それがどこから来ているとしても、Dream Theaterのみんなから僕が合格だと聞くまでは、絶対に安心できなかったんだ。だから、僕がドラマーの座を得たとわかったときには、すべての感情があふれ出したんだ。

 

ホイットマン:あのときはバークリー音楽大学で教えていらっしゃったんですよね?

 

マンジーニ:うん、その通りだよ。フルタイムのバークリー音楽大学教授だったし、パートタイムの国際音声学者だったし。それから、かなり新人の父親でもあった。(訳注:オーディション当時の2010年は息子さん4歳、娘さん1歳)だから、うん、忙しくて手一杯だったね。

 

ホイットマン:それ以前には、Extremeやスティーヴ・ヴァイ Steve Vaiとの活動でお姿を見ることができました。活動経歴について更に話して頂けますか?

 

マンジーニ:僕の活動経歴は経験がぎっしり詰まっていて、個人的決断の成功と失敗もぎっしり詰まってるね。そういうことは生徒たちに教えるのも楽しいし、自分自身が学ぶのも楽しいよ。他の人たちと一緒にいるときのやり方を本当に学ばないといけなかったよ。時には、自分や誰かが他の人の意識の中に、考え方や物事の見方に深入りしすぎるのは、作品作りのためにはいいんだけど、人づきあいには良くない。だから本当にいろんな場面を振り返って考え直さないといけなかったよ。どんなときに僕は人の大迷惑になったか?どんなときに僕は人の助けになったか?どんなときに僕は人を幸せにできたか?どんなときに僕は人をイラつかせて、両手の親指に根性焼きしてやりたいと思わせたか?で、そういうことを全部、正直に受け入れないといけない。

 

ホイットマン:そうしたことの上に、今の活動が、Dream Theaterでの並外れた作品が、生まれているわけですね。新作の "Live At Luna Park" はすばらしいです。

amazonの日本盤  DVD  Blu-ray

 

マンジーニ:わあ、ありがとう!

 

ホイットマン:僕は心の底から親指を立てた評価のレヴューを書きました。一部を引用しますと「マンジーニは魔法だ」。本当にあなたの能力と、バンドにもたらした好影響のショウケースのような内容だと思いましたから。

 

マンジーニ:ありがとう!

 

ホイットマン:とんでもないです。この作品はDream Theaterにとって、新アルバムとツアーを携えて次のステージへ向かう前の、ひとつのステージの最終点だったわけですが、今この映像を観て振り返ってみての感想はいかがですか?

 

マンジーニ:Dream Theater加入からここまでには深く感銘を受けたし、とても感情を揺さぶられたよ。Dream Theaterのドラムパートにふさわしいことをするために自分の能力について懸命に考えた分だけ、みんなの、バンドの全員とスタッフの、親切な言葉に感激を抑えられなかった。みんながどれだけ辛抱強く僕に接してくれたか、みんながどれだけ経験豊かで、僕の調子の波も切り抜けさせ、成長させてくれたか。みんながどれだけ僕に良くしてくれたか、ただもう感激するしかないよ。

 

ホイットマン:"Luna Park" では、バンド内に密接な関係が築かれている様子をたくさんカメラがとらえていて実際に見ることができますね。ステージ上のバンド全員の間に、本当にたくさんの愛情がある様子を見て取ることができます。

 

マンジーニ:ああ、本当にそうなんだ。と言うのも、僕はバンドのみんなを見るたびに、僕を成長させてやる時間を与えないことだって彼らにはできたかもしれない、と本当に思うんだ。ライヴ前にアガることとか、Eメールしすぎなこととかを理由にね。って僕はメールしすぎなんじゃないかと思うんだ、たくさんのことをしようとしたり、準備したりしようとして。それなのに彼らは辛抱強く僕にそういうことを全部させて、僕を見れば、みんなと同じ目標に向かっているとわかってくれる。僕たちの間に何が起ころうとも、全員が同じ目標に向かっていて、僕たちはただすばらしいライヴをして、全員がベストを尽くした、良きチームだ、という思いで夜ベッドに入れることを目指しているんだ、とみんな僕に思わせてくれるんだ。

 

ホイットマン数ヶ月前にジョーダン Jordan(・ルーデス Rudess)と話して、バンドとあなたとの間にすばらしい一体感と友情があることを感じました。

 

マンジーニ:そうなんだよ!その様子を見た僕の家族が言うんだよ。「マイケル、お前は本当にラッキーな人間だよ。とてもよく見守ってもらっているね」って。家族が言うには、僕はそういう報い、または喜びかな?をある程度受けるに足りるだけのことをしている、らしい。でも過度の報いを受けるに足りる人間なんて本当にいない。報いを受けるためには努力しないといけない。努力し続けないといけない。こういう仲間と一緒にいられて僕がいかに幸運か、と家族は本当に感謝しているんだ。

 

ホイットマン:本当にとてもすばらしい仲間関係ですよね。

ところで、"Luna Park" にはとても印象的なドラムソロが収録されていますね。マイク、これは前もって準備されたものですか、それよりも、即興と言うべきものですか?

 

マンジーニ:準備したものをやる予定だったんだ。収録されたソロの前夜のライヴでは、以前やったソロを基盤として準備したものをやったんだけど、まあ失敗だった!まるでタイピングしてるみたいに感じたんだ。まさにそうとしか言いようがないよ。タイピングしてるみたいに感じた。(訳注:"Live At Luna Park" では、アルゼンチン、ブエノスアイレスの会場Luna Parkでおこなった2012年8月19、20日2夜の公演を収録)で、2夜目のライヴでは、自分を信用して、みんなも僕を信用してくれていると信用して、ただ即興であふれ出してくるままにやったんだ。それが収録映像で観られるものだよ。即興だったんだ。確かに、いくらかは似たことを前にやったし、確かに、このソロをやりながら考えているときに、自分から吐き出されるアイディアや自分なりにいいと思うものが入れてある脳内データベースにアクセスはしたけど、即興だったよ。

 

ホイットマン:あの映像のために、あのソロが記録に残されたことは本当にすばらしいです。

 

マンジーニ:そうなんだよ!二度とあんな風に演奏できないかもしれないし、二度とは出てこないようなアイディアがあのソロの中に見つかるかもしれないけど、あのソロは現実にやったものだし、あのソロの持っているフィーリングにはとても満足できているんだ。

 

ホイットマン:とても印象深いソロです。

 

マンジーニ:ありがとう!

 

ホイットマン:ハイライトですよ。あのショウにはいくつもハイライトがありますが、そのうちの1つです。ただもうすばらしい作品です。そして、Dream Theaterの皆さんは新しいツアーに向けて準備中ですか?

 

マンジーニ:うん、そうだよ。"Luna Park" について、もうひとつ言ってもいいかな?

 

ホイットマン:お願いします。

 

マンジーニ:僕がみんなと仕事ができて幸せで感謝しているという話をしているのは、マイク・レオナルド Mike Leonard(訳注:"Live At Luna Park" のプロデューサー、監督)と彼のクルーのこと、[エンジニアの] リッチ・チッキ Rich Chyckiのこと、舞台裏でたくさんの仕事をこなして、とても辛抱強く僕に接してくれて、ただひたすら熱心に仕事を完遂した全員のことだよ。全員をとても尊敬しているし、とても感謝しているよ。

 

ホイットマン:次回のツアー(訳注:アルバム13作目 "Dream Theater"(2013年)のツアー)の話題に移りますが、前座はつかないんですね?

 

マンジーニ:そうだよ。

 

ホイットマン:では "An Evening With Dream Theater" 形式(訳注:前座がない単独公演)なんですね?

 

マンジーニ:その通り。

 

ホイットマン:このツアーにはどんなことを期待できますか?

 

マンジーニ:(笑)安心、かなあ。ひとたびステージに上がってライヴをすればね。今やっている準備を全部終えて。そう、ファンのみんなは、5人のとても幸せな顔を見られると期待していてね。スタッフを見渡せば、僕たちがしている仕事はすべてやった価値がある結果になる、という誇りに満ちた幸せな顔を見られると思うよ。それがまず第一だね。An Evening With形式ということは、とてもとても長いショウということで、ファンのみんなにとってすばらしいものになるであろう流れに沿って進んで行くんだ。関係者のみんなで話し合ったセットリストを元にね。だから、みんな何をセットリストに入れるか、とても詳しいことまで話し合っているし、たくさんの考えや感情を注ぎ込んでいるよ。

 

ホイットマン:何かヒントをお願いできますか。Dream Theaterの経歴の中で、長いことライヴで聴いていない曲を聴けると期待できますか?

 

マンジーニ:まあ、そうだね。それも一部だよ。やりたいことの一部だ。バンドのみんながファンのことを思っているから、確かに、あらゆることが審議にかけられたよ。どういう雰囲気で行こうか?どの曲をやる?なぜ?どうやってショウを成功させる?セットリストに入れられない内容を除いて、かつ適切な内容の演奏をするために、許容範囲のことは何か?こういうことを僕たちがやる理由は何か?その最終目標は?という風にね。その最終目標は、そう、概してほとんどのファンが快く「わあ、今まで見たDream Theaterのライヴで最高だ」と言ってくれることだよ。秘密にしておきたいから、この曲を演るとか演らないとかはっきりは言えないよ。

ホイットマン:新アルバム "Dream Theater" の曲もたくさん聴けると想像しているのですが?

 

マンジーニ:たくさんやるよ。2種類の要素が必要なんだよね。ファンがライヴに行ったとき、バンドがアルバム1作をまるまる全部やって頭をぶっ飛ばされるけど、お気に入りの曲を全然やらなかったらどう思うか?それでは成功しない。バンドがその2要素のちょうどいい配分でやったらファンはどう思うか?というわけで、それが僕たちがうまくやろうとしていることなんだ。何をどれだけやるかというバランスと、それがどのように受けとめられるかということ。

 

ホイットマン:前回のツアーでは、それがとてもうまく調整されていたと思います。"A Dramatic Turn Of Events" の曲もたくさんありましたし、以前の曲もうまく散りばめてありましたし、とてもいい結果になっていました。

 

マンジーニ:そうなんだよ。それが僕たち全員が望んでいることなんだ。[ギタリストの] ジョン・ペトルーシ John Petrucci が特に、今までの全人生を「ここで何をやったらすばらしい結果になるだろう?」とたくさん考えることに捧げているよ。全員がそれを考えたし、バンドの他のみんなが、僕たちにできる最高のことは何か?なぜやるのか?と、とても気を配っている姿は、本当に見ていて頼もしいものだよ。

 

ホイットマン:それで、ツアーはヨーロッパから始まるんですね。アメリカはいつ頃になるとあなたは予想されますか?

 

マンジーニ:(訳注:2014年)3月か4月になると聞いちゃってるけどね(笑)。でも、わからないよ。このツアーのプロダクション方面での責任やドラム方面での責任を果たそうとして僕の頭は一杯になってるよ。体調を整えたり、そういうツアーのために良いことをやろうとして。ひたすら流れに乗って進んでいるよ。

 

ホイットマン:あなたの驚くべきドラムセット、あのステージ上のドラム武器庫に、何か変更点はありますか?

 

マンジーニ:あるよ。主な変更点は、特大のバスドラム2つを外すことなんだ。大きなバスドラムを、僕から見て左側に第4バスドラムと、右側に第3バスドラムを置いてたんだけどね。ダイナミクスを出す目的で。そのバスドラム2つを、エレクトリックドラムのトリガーであるバスドラムに替えて、そのキックドラムから欲しい音は何でも出せるようにしたんだ。パーカッションを使う曲がいくつかあって、それで必要なんだ。この方法ならティンパニを運んで回らなくていいんだよ。グロッケンシュピールも、カウベルも、ヴィブスラップも運んで回らなくていんだよ。そのトリガーになるパッドを設定すれば、欲しい音を何でも出せるんだ。シンバルをちょっと厚くしたのも変更点だね。

 

ホイットマンDream Theaterは常に最新テクノロジーを駆使しているバンドですね。他に何か、耳寄りな機材の話題はありますか?

 

マンジーニ:あるよ。僕のことを言う前に、バンドの全員が最新テクノロジーには興味があると言っておくよ。[キーボーディストの] ジョーダン・ルーデスが、テクノロジー面で、僕たちの見た目や映像部門にがっちり取り組んでいるよ。この人が毎週の日々を繰り返しながらどんなことをしているのか、このツアーのために何時間を捧げているのか、想像もできないよ。他のメンバーたちがどんなことをしているのかもね。でもジョーダンがこのツアーのために本当に時間と努力を、たくさんの時間を、たくさんのEメールを、たくさんの考えを、たくさんの労力を注ぎ込んで、時間をかけて臨んでいるということは知っているよ。それはわかるんだ。このツアーのためにすごく熱心に取り組んでいるとわかるよ。僕の立場で使うテクノロジーというのは、ステージ上でセットリストを見やすくしたり、録画機材とうまく接続したりできるのはどんな機材か、という関連のことだよ。

ドラムの観点から言うと、僕はエレクトリックドラムを組み入れている。って、そのエレクトリックドラムという言葉は好きじゃないんだけどね。ただ電気で作動するドラムの音、という意味では。木で作る構造物や、木でドラムを作る技術にも本当に深く興味を持っているよ。僕が契約しているドラム製造社のパール Pearl はSST(訳注:Superior Shell Technology)という技術を使っていて、強度を上げるために複数の木材の板をお互いに織り込むことができて木材を混ぜてしまえるんだ。

(訳注:動画(英語) 映像と図で概要を紹介)

だから、僕のドラムキットもPearlのアーティスト担当者のマイク・ファリス Mike Farrisと、僕用の究極の木材ミックスにたどり着いてくれた大勢のPearlスタッフ全員の、たくさんの考えと、何ヶ月もの期間と、たくさんの労力からできているんだ。たとえば、今度のツアーに使うドラムは実際Pearl製のドラムセットを4種類混合させたもので、僕の演奏経歴や、シェルの反応具合や、前回のツアーや、録音された前回のツアー音源、たくさんの情報を参考にして作られたんだ。今度のツアーのためには本当にたくさんの労力が注ぎ込まれているよ。

 

ホイットマン:すると、今度のツアー用に新しいアニメーションも作られますか?

 

マンジーニ:(笑)なにしろジョーダンが魔法使いだからね。それについては彼が中心になっているからどうなるか、ね?ペトルーシもショウへのアイディア面で大いに関わっているよ。[シンガーの] ジェイムズ James(・ラブリエ LaBrie)と [ベーシストのジョン John・] マイアング Myungも常に意見を出して参加しているし、たった一言のアイディアで状況をまったく変えてしまうこともあるんだ、かなり、そういうことがあるんだよ。アイディアを出し合いながら、僕たち5人の誰もが何か思いつくことがあるんだ。スタッフの1人がアイディアを却下することもできるんだよ。「ええと、それはライヴでは無理」とか「この方法ならできる」とか「これをやるべきだ」とか「いや、それはあまり名案だとは思わない、こっちのほうがいいと思う」とか言ってね。誰もが参加できるんだよ。そう、こういうこと全部が進んでいく様子を見るのは、本当にいいものだよ。

 

ホイットマンアニメのキャラクターになった感想はいかがですか?Dream Theater加入決定前は、こんなことになると予想していましたか?

 

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(画像: "Live At Luna Park" DVD amazon より(訳者がスクリーンショット撮影)

作:Mika Tyyskä サイト

ミュージシャン、ギタリストでもあり、自作のアニメキャラクター Mr. Fastfinger と共演)

 

マンジーニ:(笑)予想だにしないよ。で、僕ってえらく紫だなと思うね。自分ではこんな青紫には見えてなかったんだけど。

 

ホイットマン:あなたはジーニー Genie ですよね?

 

(訳注:ジーニー Genie = 物語集『アラビアンナイト』で願いを叶えてくれる魔法のランプの精霊。ディズニー映画『アラジン』に Genie の名で登場。アラビア圏の精霊の総称「ジン Djinn」、英語の「ジーニアス Genius(天才)」も想起させる。

Mangini → Man(人間、男)+ Genie(ジーニー)で、意味的にも名前の音的にもぴったりというわけでマンジーニ氏のDream Theater内でのニックネームがジーニー Genie となる。2011年7月にジェイムズ・ラブリエ氏の インタヴュー(英語) で言及)

 

マンジーニ:うむ、それはいい。わかる。面白いと思うよ。ユーモアがあることは何でも好きだから。

 

ホイットマン:あのアニメはライヴで観るたび、いつでもハイライトでしたよ。なので "Live At Luna Park" にしっかり収録されてうれしかったんです。

 

マンジーニ:おお、いいね、いいね。早く自分のが欲しいな。

 

ホイットマン:そのアニメはボーナス映像です。

 

マンジーニ:おお、すばらしい。

 

ホイットマン:それにしても、あの、ホーミーを使ったイントロの "Bridges In The Sky"(Spotify)での開幕はとてもドラマティックですね。あれを越える開幕にするのは難しそうですが、でもきっとDream Theaterはやってくれると確信しています。

 

マンジーニ:僕も確信しているよ。でも、僕たちを助けてくれる人たちがたくさんいるんだよ。クリエイティブな状態を作るために自主的に動いてくれる人たちがたくさんいるんだ。だから、ツアー準備の過程はわくわくするよ。特に、プロフェッショナルな人たちを雇って、その助けを得て、彼らがプロフェッショナルでいられる環境を提供して、やりたいことをやる様子を見ているのはね。

 

(訳注:このツアーの映像は "Breaking the Fourth Wall"(2014年)に収録。amazon DVD Blu-ray ※Blu-rayは中古高騰(2021年5月現在))

 

ホイットマン長めのショウになるので、あなたはこのツアーに向けて本当に身体的な準備をしなければいけないのではないかと想像するのですが?

 

マンジーニ:ああ(ため息)……ああ。僕に言えるのはこれだけ。あ・あ・あ。で質問の答えだけど、はい、もちろん準備します。

 

ホイットマン:なにしろ、あなたのお仕事はバンド全員の中で最も肉体労働ですよね?

 

マンジーニ:まあ、そうだね。そしてステージ後方でリズムの背骨にもならないといけないわけだから、精神的なプレッシャーもあるよ。それから、僕が過去曲を演るたびに大勢のファンがノートを取ってると知ってるからね(笑)

 

ホイットマン:確かに。ご自身の加入前の曲へのアプローチとしては、過去の通りに懸命にまねると言うよりは、ご自分の個性を加えようとなさっていますか?

 

マンジーニ:そうだね。過去のドラムパートに加えたいことが見つかったら変えているよ。だけど、そこまで変えないとしても、そうだなあ、なかば左利き奏法で、なかば右利き奏法で演奏するとかいうことはあるよ。そうすると、バンド全体がキーチェンジしたときにシンバルの音を、いわば変更することができるんだ。変更すると、キーチェンジに対していい効果が出るんだよ。アルバム版より更にぴったりの音程に合わせようとしている部分もあるよ。どのドラムやシンバルを叩くか選ぶ、という範囲でだけど。と言うのは、生で演奏中のリフの周波数に合わせたいということなんだ。それから僕は標準的なドラムフィルをやる代わりに、他の誰かが演奏していることに合わせてメロディ的に演奏するのが好きなんだ。そして自由なドラムフィルを展開する部分については、今回のツアーでは思い切り自分の思い通りのことをやってみようと思うんだ。

 

ホイットマン:ファンたちは今や本当にあなたをバンドの一員として受け入れていて、あなたが過去と同じものを懸命に再現しようとするよりも、今までとは違うことをバンドにもたらす場面のほうが好きであるように思います。

 

マンジーニ:そこなんだ。ある意味、あまりにも過去の通りぴったり演奏しすぎたら、ちょっと気持ち悪いよね?言ってる意味をわかってもらえる?でも、過去のドラムパートのすばらしさを守りたくもあるんだ。耳に親しんでいるものを聴く幸せを、ファンのみんなには味わってほしい。でも、ちょっとひねりを加えて、ちょっと自分なりの表現ができたという感覚を得ながら、できればバンドやファンのみんなが興奮してくれるところまで持って行きたくもあるんだ。

 

ホイットマン:刺激度を上げて行こう、というわけですね?

 

マンジーニ:それが僕のやろうとしていることなんだ!

 

ホイットマン:ジョーダンと話したとき、"A Dramatic Turn Of Events" ではあなたが参加したときに曲は存在していて構成されていたので、あなたは録音音源に対して演奏したけれども、新アルバムの "Dream Theater" では、あなたがどのように音楽的なインプットをしたかということを話してくれました。作曲やアレンジの世界に参加して、作曲者としてのクレジットも得るというのはいかがでしたか?

 

マンジーニ:いい経験だったよ。それで、きみがさっきExtremeやスティーヴ・ヴァイたちとの僕の経験について質問してくれたときの話を思い出したよ。僕は作曲者として、って、僕がそう言うときは、家で腰を据えて、作曲を進めるためにあらゆる楽器を使いながら、作曲がいかに難しいかという思いを大きくしながら曲を書こうとしている人として、という意味なんだけど。

 

で、その作曲者として、僕は自分が歓迎されていると思われることにだけ参加して、自分がアイディアを持っていようがいまいが、他の人たちがするべきだと思ったことからは自分を締め出す、という能力を使ってセッションに臨んでいるつもりなんだ。それが僕にとって最優先の考えなんだよ。つまり、ジョンとジョーダンが曲のために一連のコード進行を作っているときには、僕はただそこに座っていたり、ただ意見を出したい一念でそこにいるんじゃなくて、iPadとキーボードに向かってじっと座って、彼らがしているのはどういうことか文字通り学んで、彼らはどうやってそうしているのか、何をしているのかわかろうとしていたんだ。

 

アイディアが浮かんだときには知的な方法で伝えようとして、ときどき、実際の音を提案したり実際に演奏したりすることを試みたけど、そんなことはとても少ない、ごく稀なことだったよ。だって、それは彼らのしていることだからね。他の誰かの楽器の領域に踏み込んで「よう、ジョン・ペトルーシ、リフができたぜ。題は 'The Dark Eternal Night' だ。チェックしてくれ」なんてやったらいけないとわかってるわけだから。どうやったら僕がそんなリフを思いつける?どうやったらドラマーにそんなことができる?そんなわけで、僕は境界線を見定めなければいけなかったし、自分なりの提案をしながら、でも、みんなが境界の侵し合いに慣れていようといまいと、誰にもちっともいやな思いはさせずに、とてもすばらしい時間を過ごしたよ。ただ全員が満足しているようにしたかったし、曲がすばらしい出来になってほしかった。

 

ホイットマン:新アルバムはあなたのインプットのおかげで豊かになったと思います。アルバム "Dream Theater" には、前作と同じぐらいすばらしい音楽が収録されていますよ。

 

Dream Theater サイト "BUY ALBUM" から各種デジタル版へリンク

amazonの日本盤 HDtracksの高解像度デジタル版

 

マンジーニ:うん、制作は楽しかったよ。

 

ホイットマン:すばらしいアルバムです。アルバム "Dream Theater" と "Live At Luna Park" のセットで必殺ワンツーパンチですね。驚くべき作品群が生まれてきていますね。

 

マンジーニ:ええと、きみや聴いてくれるみんなが意味をわかってくれたらいいな、ということを話すね。みんなに、基本的な「考える」プロセスから脱出して「感じて」ほしいんだ。そこにあるもの何でもに対して。と言うのも、「感じる」ようにすれば、音楽の美しさを体験できるし、音楽が言葉のように語りかけてくるんだ。僕たちDream Theaterの全員も音楽を演奏しながら何か感じて、その感じたことが本当に音楽に入ってるんだ。つまり、僕たちの音楽に対するまっしぐらさ。夢中だったこと。全員が一丸となってまっしぐらになっていることを聴く人たちが感じてくれることを、一番に願っているんだ。

 

ホイットマン:それは言い得て妙ですね。"Dream Theater" や "Live At Luna Park" はまさにそのように聞こえます。

 

マンジーニ:だといいなと思っているんだ。みんなが一体になっていたよ。全員が同じ目標に向かっていたし、同じぐらい熱中していたし、ほとんど同じ心と意識を持っているようでさえあったよ。すばらしい経験だった。

 

ホイットマン:ところで、サイドプロジェクトに参加しているメンバーもいますね。ジョーダンはトニー・レヴィン Tony Levin、マルコ・ミネマン Marco Minnemannと共にアルバム "Levin Minnemann Rudess" を発表しました。

(第1作 "Levin Minnemann Rudess"(2013年)

第2作 "From The Law Offices Of Levin Minnemann Rudess"(2016年)

発売元 Lazy Bones(アメリカ)オンラインショップ )

 

あなたは、ソロプロジェクトや他のミュージシャンたちとのバンドなど、何かサイドプロジェクトの計画をされていますか?

 

マンジーニ:前はしてなかったんだけどね。このバンドに入ったことが、つまり一緒に仕事をするミュージシャンたちができたということだと思ったから。たとえば、曲のアイディアはたくさんあるし、デモもたくさんあるし、作ってきたものもたくさんあるし、「わあ、Dream Theaterのみんながいつかこのアイディアを使ってくれたらいいな。何でもいいから、何かやってくれたら」と思っていたんだ。でも、ここへ来てわかったのは、Dream Theaterは本当に全員で何かするバンドで、僕が何か採用してもらおうと思ったら、それはよほど並外れた名案か、バンドがやろうとしていることに既にぴったりはまることじゃないといけない。だから今ではすっかり考えを変えて、アテもないのにそうしたアイディアをいつかどこかで使いたいと思っているよ。

 

でも、まずはDream Theaterのための仕事をしてからね。来年ツアーに出た時点で、今ショウのためにしているこの仕込み仕事や準備が全部終わるわけだし。そしたら、その個人的アイディアの実現に集中可能になる。それに、自宅の最上階をリフォームして、Bルームスタジオとなるきれいな部屋があって、ドラム室もすばらしいし、自分に必要になると思いつける限りのものは全部そろえたからね。だから、今では準備ができていると言えるね。

 

ホイットマン:ご家族は、上の階から聞こえてくるドラムの音に文句を言いませんか?

 

マンジーニ:毎日の生活やら宿題やら何やらに介入してくる僕の声のでかさより、むしろドラムの音のでかさのほうがいいみたいだよ。

 

ホイットマン:では、親父は仕事させておけ!というわけですね。

 

マンジーニ:そう!僕の両親も昔、たぶん今でも、僕がどこか部屋の外に出てきてるより、部屋にこもって作曲やら作業やらで忙しくしているほうが幸せみたいだよ。

 

ホイットマン:ではマイク、最後に何かメッセージを頂けますか?

 

マンジーニ:明日はまた新しくやるべきことがある、新しい1日。僕はそういう考え方をしているんだ。僕たちはただ前進あるのみで、次のこと、また次のこと、また次のこと、をどんどんやっていくしかない。それがメッセージだよ。